一昨日の南座での
「市川海老蔵 永楽屋創業四百年特別公演」、
お蔭様で無事終えることが出来ました。
こちらは、花道でご挨拶させて頂く直前です!
内容は以下の通りです。
私、
永楽屋十四代当主 細辻伊兵衛でございます。
本日は公私共にお忙しい中、
「永楽屋 創業四百年 特別公演」に ご来場頂きまして
誠に ありがとうございます。
元和元年に創業致しました永楽屋が
四百年を迎えられましたのも、
ひとえに 皆様のご愛顧の賜物であると
社員一同心より 厚く御礼申し上げます。
永楽屋の先祖は、桓武天皇による 平安京への遷都に伴い、
奈良から京都に移住したという伝承が残っております。
戦国時代には 主に絹製品を扱っておりましたが
その後、お仕えしていた織田信長公から
木綿への変更をすすめられ、永楽屋の屋号と
細辻姓を 拝領いたしました。
豪商として、豊かな時代もございましたが、
1615年の創業以来、数々の戦乱や火災に翻弄されながら
近年では、国立京都国際会館の建設に伴う
国際電話局の新設のため、350年慣れ親しんだ
創業の三条東洞院の地から 立ち退くこととなりました。
和装から洋装への時代の変化もあり、
私が婿養子として細辻家に入りました平成4年には、
事業の柱さえ無かった状態でございました。
不運にも、翌年平成5年には、細辻の母が亡くなり、
また翌年には父をも亡くし、そんな中で
私は平成11年に社長に就任致しました。
手探り状態で思い悩む日々が続く中
ある日店の倉庫で眠っていた 古い箱の中の手拭いを発見し
この手ぬぐいの復刻に、永楽屋の社運をかける決心を致しました。
まず、その資金をつくるため、当時の北山の自宅を売却しました。
「永楽屋にしかできない日本一の手ぬぐいを作りたい!」
その一心で、全国の織り屋さん、全国の染色の専門家を訪ね
新しく各工程ごとの 技術の見直しに 協力をお願いすることから
始めた次第です。
また問屋から製造小売への転換は
永楽屋400年の歴史において 画期的なことであり
第二の創業であったと考えます。
平成12年、室町三条の本社前で
わずか2坪の店舗で 販売を始めました。
そんな情熱を注いで誕生した「京三条 町家手拭」も
最初の3年は 思うように売れませんでした。
そして、一大決心で二号店を四条御旅町に出店したことにより
マスコミにも 取り上げてもらえるようになりました。
そのことで、ようやく注目されるようになり、売り上げも伸び始めました。
その後は風呂敷をはじめ、新しいデザインの手ぬぐい
ご縁ある京都の老舗やアーティストの方々との
コラボレーションも行っております。
また、今年6月には東京青山にて
「手ぬぐいの新しい可能性と挑戦!」として
「14世 細辻伊兵衛てぬぐいアート展」を開催いたしました。
引き続き7月には、京都高島屋でも
祇園祭を中心とした「てぬぐいアート展」!
今月16日から29日までは、シンガポール高島屋での限定ショップ。
また11月からは、イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館においても
常設ショップの展開をスタートいたします。
永楽屋の400年は「奇跡の400年!」と例えられますが
その400年は 歴代当主が様々な危機を乗り越えて
こんにちまで繋いでくれた 400年であったと思います。
十四代目である私も、家と店とは先祖からの預かりものであり
自分は単にその時代を託された者として
また次の代へと引き継いでいく者にすぎないと考えております。
永楽屋が京都と共に、100年先も皆様に愛される会社であることを願い
社員一同感謝の気持ちを忘れることなく
これからも日々精進してまいる所存でございます。
ご贔屓頂いております皆様をはじめ、本日初めてお目にかかります皆様も
どうぞこれからも永楽屋を幾久しくお願い申し上げます。
これより、市川海老蔵さんによる
「市川海老蔵 ジャパンシアター」を、どうぞお楽しみ下さいませ。
本日は誠にありがとうございました。